女性社員の挑戦を後押しする上司とは | 株式会社エヴリック
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コラムcolumn

女性社員の挑戦を後押しする上司とは

 

はじめに

前回の記事では、女性社員が管理職をためらう背景として、

  • 自信不足ではなく経験機会の不足
  • ロールモデルの少なさ
  • 管理職に対する固定的なイメージ
  • 周囲の過度な配慮

などが影響していることをお伝えしました。

では、そのような状況の中で、現場の上司にはどのような役割が求められるのでしょうか。

女性リーダー育成というと、人事施策や研修制度に目が向きがちです。しかし実際には、日々最も大きな影響を与えているのは直属の上司かもしれません。

今回は、女性社員の挑戦を後押しするために上司ができる関わり方について考えていきます。

 

女性社員のキャリアに最も影響を与えるのは「上司」

研修やキャリア面談の場で、女性社員からさまざまな話を伺う機会があります。

その中で感じるのは、制度や研修以上に、上司との関わりがキャリア選択に大きな影響を与えているということです。

 

例えば、

「上司から『次はあなたに任せたい』と言われたことで、自分の可能性を考えるようになった」

という声がある一方で、

「管理職候補の話が出たこともなかったので、自分は期待されていないと思っていた」

という声もあります。

 

また、

「上司が背中を押してくれたことで挑戦できた」

という人がいる一方で、

「自分には無理だろうと周囲に思われている気がしていた」

という人もいます。

 

もちろん、最終的なキャリアの選択は本人が決めるものです。しかし、その判断に至るまでの過程において、上司からどのような期待を受け、どのような経験機会を与えられてきたかは決して小さくありません。

だからこそ、女性リーダー育成は人事部門だけの課題ではなく、現場マネジメントの課題でもあるのです。

 

良かれと思ってやってしまう“育成の落とし穴”

一方で、女性社員を支援しようとするあまり、上司が無意識のうちに成長機会を狭めてしまうケースもあります。

「無理をさせない」という配慮

例えば、

・負荷の高い案件は任せない
・出張を伴う仕事は打診しない
・異動や昇進の候補から外す
・難易度の高いプロジェクトには参加させない

こうした判断は、多くの場合、本人を思っての善意によるものです。

しかし、その結果として挑戦する機会そのものが失われてしまうことがあります。

実際に、

「後から知ったら、自分だけ候補から外れていた」

「相談もなく『大変そうだから』と判断されていた」

という話を耳にすることもあります。

もちろん、本人の事情や希望を考慮することは大切です。

ただし、「本人に確認した結果」と「こちらが勝手に想像した結果」では大きな違いがあります。

配慮することと、可能性を決めつけることは別物なのです。

「本人が希望したら考える」という考え方

もう一つよく見られるのが、

「本人が管理職を希望したら育成しよう」

という考え方です。

しかし、管理職を目指したいと手を挙げるためには、その前段階での成功体験や挑戦経験が必要です。

管理職候補として期待されていることを伝えられた経験がないまま、自ら手を挙げることは決して簡単ではありません。

特に真面目で責任感の強い人ほど、

「自分にはまだ早い」

「もっと経験を積んでから」

と考える傾向があります。

だからこそ、上司には「本人が言い出すのを待つ」のではなく、可能性を広げる働きかけが求められるのです。

 

女性社員の挑戦を後押しする1on1とは

では、上司はどのような関わりをするとよいのでしょうか。

その鍵となるのが、日常的な対話です。

ここで重要なのは、管理職になるよう説得することではありません。

本人が自分の可能性を広げられるよう支援することです。

 

期待を言葉にして伝える

上司は意外と「期待している」という気持ちを言葉にできていません。

自分では評価しているつもりでも、本人には伝わっていないことも少なくありません。

例えば、

「今の仕事ぶりを見ていて、もっと大きな役割も担えると思っています」

「将来的にはリーダー的な立場も十分に期待しています」

といった言葉は、本人にとって大きな後押しになります。

期待を伝えることは、プレッシャーをかけることではありません。

「あなたの可能性を信じている」というメッセージでもあるのです。

 

不安を否定せずに受け止める

管理職への打診に対して、

「自信がありません」

「自分には向いていないと思います」

という言葉が返ってくることがあります。

その際、

「そんなことないよ」

「大丈夫だからやってみなよ」

と励ましたくなるかもしれません。

しかし、まずは不安の中身を丁寧に聴くことが大切です。

何に不安を感じているのか。

何が障壁になっているのか。

それを整理するだけでも、本人の認識が変わることがあります。

 

“自分らしいリーダー像”を一緒に考える

管理職に対して、

「厳しく指示を出せる人」

「強く引っ張る人」

というイメージを持っている人は少なくありません。

 

その結果、

「自分はそういうタイプではないから向いていない」

と考えてしまうことがあります。

しかし、リーダーシップの形は一つではありません。

メンバーの話を丁寧に聴くことが得意な人もいれば、周囲を巻き込みながら物事を進めることが得意な人もいます。

だからこそ、

「どんなリーダーなら自分にもできそうだと思いますか」

「どのようなチームをつくりたいですか」

といった問いを通じて、自分らしいリーダー像を描く支援が重要になります。

1on1で活用できる質問例

女性社員のキャリア形成を支援する際には、次のような問いかけも有効です。

・今後やってみたい仕事はありますか
・仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか
・今後身につけたい力はありますか
・もし不安がなかったら、どんな挑戦をしてみたいですか
・どんなリーダーなら自分にもできそうだと思いますか
・将来、どのような働き方を実現したいですか

重要なのは、答えを誘導することではなく、本人が自分自身の考えを整理できる場をつくることです。

上司に求められるのは「説得」ではなく「伴走」

女性リーダー育成について考えるとき、上司の役割は管理職になるよう説得することではありません。

また、「女性だから管理職を目指すべきだ」という話でもありません。

大切なのは、本人が自分の可能性を狭めることなく、納得感を持ってキャリアを選択できるよう支援することです。

そのためには、期待を伝えること、挑戦の機会を提供すること、そして対話を重ねることが欠かせません。

日々の1on1は、単なる業務確認の場ではなく、未来の可能性を広げる場にもなり得ます。

女性リーダー育成の第一歩は、特別な施策ではなく、こうした日常の関わりの中にあるのかもしれません。

まとめ(次回予告)

女性リーダー育成は、本人の意識や意欲だけに委ねるものではありません。

上司が期待を伝え、挑戦の機会を提供し、対話を通じて可能性を広げていくことが重要です。

一方で、上司個人の努力だけでは解決できない課題もあります。

挑戦したいと思える環境があるか。失敗を許容する風土があるか。多様なキャリアの選択肢が見える状態になっているか。

次回は、女性リーダー育成を支える組織の仕組みや風土づくりについて考えていきます。

筆者プロフィール

株式会社エヴリック シニアコンサルタント
青木 早智子

大学卒業後、ベネッセグループのコールセンター運営会社である株式会社テレマーケティングジャパン(現・セコムグループ 株式会社TMJ)に入社。コールセンターのSV(スーパーバイザー)やQA(品質管理)職を経験した後、2010年より人材開発部門へ異動し、約12年間にわたり社内研修の企画・開発・実施に従事。これまでに延べ1万人以上の従業員に対して研修を実施する。

自身がキャリアに悩んだ経験をきっかけに、2014年にコーチング資格を取得。さらに2019年には国家資格キャリアコンサルタントを取得し、社内外においてキャリアカウンセリングやコーチングを行う。

現在は株式会社エヴリックのシニアコンサルタントとして、若手社員から管理職まで幅広い階層を対象とした研修・人材育成支援に携わっている。

【保有資格】
・国家資格 キャリアコンサルタント
・国際コーチング連盟(ICF)認定アソシエイトコーチ(ACC)

公開日: